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資 産 運 用 マ ニ ュ ア ル
STEP1 不動産で収益を考える 目的と効果  デメリットとリスク  アドバイス
STEP2 資金計画を立てる 資金計画  自己資金  融資利用  アドバイス
STEP3 情報を集める 目的  方法  相場  アドバイス
STEP4 物件の選択 購入価格  場所・最寄駅  建物種別  築年数  アドバイス
STEP5 物件を見に行く 下調べ  内見  チェック項目  アドバイス
STEP6 契約をする 購入申込  契約  契約準備金  重要事項説明  売買契約書  融資申込  引渡日  決済準備金  アドバイス
STEP7 名義変更をする 名義変更  アドバイス




STEP1 不動産で収益を考える
   
− 目的と効果 −
 

資産の運用は、個人個人によって考え方や方法に違いはありますが、資産を増やし、安定収入を得るという大きな目的は同じです。 資産運用の方法には株式投資、高利回りの金融商品等もありますが、ここでは不動産を活用した資産運用を考え、 その効果について取り上げてみます。

  1. インカムゲイン
    簡単に言えば、不動産を賃貸することによって得られる収入のことです。
    単純計算でも、1,000万円を年利0.2%の定期預金にするより、利回り年利10%の不動産を1,000万円で購入する方が50倍も多く収入が得られることになります。
    また、年間給与が一定の給与所得者でも不動産を購入することによって自身の収入が増加します。
    バブル崩壊後はこのインカムゲインこそが不動産を活用した資産運用の最大の利点です。

  2. キャピタルゲイン
    不動産を購入し、その後売却した時に得られる売却益がキャピタルゲインです。
    仮に1,000万円で購入した不動産を2,000万円で売却したとすると、その差額1,000万円のことです。
    もちろん、譲渡税や仲介手数料等はかかりますが、インカムゲインに比べて、短期間に利益を生み出します。但し、これは極端に破格で購入した不動産か、又は相場が常に右肩上がりになって初めて成り立つものです。
    バブル期にはこのキャピタルゲインのみが不動産投資の目的であったと言っても過言ではなく、購入した翌日に高値で売却が決まっていたこともよくありました。
    しかし現在では、バブル期の様なことはありませんし、今後も同様なことは期待できませんが、不動産の価格が底を打ち始めた今、長期的に不動産を運用し、売却益を得ることは充分可能です。

  3. 節税効果
    不動産を所有し、賃貸するということは、不動産事業を営むということです。
    当然不動産で収益が出るわけですから、税務上申告の義務が生じます。
    しかしこの収益に対する経費(借入れ金利息、登記料、仲介手数料、 減価償却費、改修工事費等)の計上が認められるようになるので、今まで源泉徴収されていた、給与所得等との損益通算が出来、還付金を得たり、住民税が軽減されるといった節税効果が生じます。 また、贈与や相続の際にも現金(預貯金)や有価証券等に比べ、不動産の方が課税対象額は軽減されます。

  4. 資産形成
    バブル以前、バブル期、バブル崩壊後の現在も「不動産」抜きでの資産形成というものは考えられません。
    仮に、給与所得者が毎月の余剰金を銀行の定期預金に預けていても、10年後の資産は積み立て額の合計であって、自ら増えたということにはなりません。現在の銀行預金では、どんなに高利回りの商品であっても、物価上昇率を考えると目減りしていきます。銀行預金等は無駄使いの予防という程度に考えた方が良いでしょう。
    やはり、前項のインカムゲイン、キャピタルゲインがあってこそ初めて資産形成ができるということです。
    銀行預金は預けた分だけ確実に貯まります。株式は大きく膨らむことがある反面、ゼロになることもあります。不動産の運用は将来値上がりしなくても、毎月の家賃収入による利益で、数十年の内に購入代金の元が取れます。また、これからは大きく値崩れすることも考えられませんし、万一市場価格が半分になったとしても、売却をしなければ実損は発生しません。

  5. 私設年金基金
    日本の財政事情からして、今後15〜20年以内に現在の年金制度は崩壊すると言われています。もし存続したとしても、掛け金の上昇や、支給開始年齢の先送り等が起こりあまり期待はできないでしょう。
    そこで不動産を購入し、自分自身で安定収入を得られる仕組みを形成することによって、将来のリスクを回避し老後の生活を安定させることができるのです。
    老後と言っても60、70歳過ぎのことではなく、50歳以降の極近い将来の事です。
    リストラが米国並みに進み、失業率も上がるであろうこれからの世の中、何らかの自衛手段を持つべきです。
    もし失業したとしても、毎月50万円以上の家賃収入があれば、ほとんどの人は生活していけます。この程度であれば代々の地主でなくても、誰にでも出来るでしょう。

  6. 生命保険の代わり
    不動産を購入する際に銀行等の融資を利用した場合、融資した金融機関(抵当権者)は貸付額と同額の生命保険に自動的に加入します。
    この保険料は通常金融機関が負担し、融資を受けた者が万一死亡したり、重度の障害を被った場合に、融資金額の残額が保険会社によって弁済され、抵当権が抹消される仕組みになっているので、家族は無担保の事業用不動産を相続する事になります。

  7. 社会的信用の増大
    土地神話が崩壊した現在においても、未だ不動産を所有していなければ社会的信用が得にくい世の中です。
    その不動産に多額の抵当権が設定されていたとしても、不動産を所有しているという信用は絶大です。矛盾しているようですがそれが現状です。
    例えば「賃貸の保証人は持家の方にお願いします」と言われたり 、車のクレジットを組む際に「ご所有の不動産をご記入ください」と書かれていたり、普段の生活の中でもよく目にし、おそらく今後もこの様な考え方が大きく変わることはないでしょう。
    住まいは賃貸でも事業用不動産を所有していれば、それがワンルームマンションであっても立派な持家と言えます。
 
 
− デメリットとリスク −
  事業用不動産の運用は株式投資や銀行、郵便局、証券会社の金融商品などに比べ、数十倍の利回りで運用できる代わりにいくつかのデメリットやリスクがあります。
  1. 換金性が悪い
    急遽何かで資金が必要になった時に、明日売却してすぐに現金を手にする、というわけにはいきません。
    買い取ってくれる不動産投資家や不動産会社が見付かったとしても「明日までに現金で」などという条件では、一般市場価格の6割程度にしかならないでしょう。
    しかし、即換金性が悪いということであって、全く換金が出来ないわけではありません。
    最低でも1ヶ月程度の期間が必要だということです。したがって不動産の運用に余剰資金の全額を投資するような事は危険です。

  2. 小額資本では出来ない
    自己資本金が数十万円程度の小額では不動産での資産運用は出来ません。
    バブル期には、自己資金無しであっても、購入価格の全額もしくはそれ以上の金額の融資が受けられましたが、現在の正常な経済社会ではそのような事は出来ません。
    本来は全額が自己資金である事が望ましいのですが、現在のような超低金利時代であれば融資を利用してもメリットは充分あります。
    但し、最低でも購入物件価格の10〜15%程度の自己資金は必要です。

  3. 融資返済の義務
    融資を受けて不動産を購入する場合、毎月一定額の返済義務が生じます。
    事業用不動産の購入者の半数は何らかの融資を利用し、その大半が返済に家賃収入の一部を充当しようと考えています。これは家賃収入が毎月きちんとあるうちは良いのですが、万一、賃借人の退出や家賃の遅延、滞納等で家賃収入が滞ったときに、毎月の返済額を支払える収入がないようでは危険です。
    最近では不動産会社が毎月一定額の家賃を保証する「家賃保証システム」の利用者が増えてきています。
 
 
− ワンポイントアドバイス −
  事業用不動産を運用することによって得られるインカムゲインのメリットは、他の金融商品や預貯金などとは比べものになりません。単純に比較しても50倍以上といった驚異的な利回りも存在します。
その他、利回りだけでなく不動産運用に付随してくるメリットは数え切れません。
しかし、その反面、即換金性が悪いなどのデメリットもあり、生活資金を不動産で運用するようなことは危険です。金銭的な計画は大変重要です。
キャピタルゲインのみの投機的な「不動産投資」よりも不動産を活用しインカムゲインをメインとした「不動産運用」の方が安全、確実です。
 
   
   
STEP2 資金計画を立てる
   
− 資金計画 −
 

不動産を購入する場合、物件の購入価格以外にも諸経費の為の準備金が必要になります。

  1. 購入物件代金
    物件のパンフレット等に記載されている金額です。消費税が別途必要になる場合がありますので、注意が必要です。
    融資を利用する場合、アパート経営の為の事業用ローンでの融資額は、物件価格の70%程度が上限です。バブル期は物件価格の150%以上の融資が受けられることもありましたが、最近では利率が低い代わりに貸出し条件が厳しくなってきています。

  2. 仲介手数料
    不動産仲介会社を通して購入する際、物件価格の3%+6万円(速算方式)に消費税5%を加えた額が仲介手数料になります。
    一般的には契約時に半金、決済時(最終代金支払時)に残りの半金を支払います。
    不動産会社自らが売主となっている新築物件や買取物件等には仲介手数料がかかりませんが、その手数料以上の金額が物件価格に含まれているのが実情です。

  3. 不動産登記手数料
    不動産を購入しその所有権を第三者に主張する為には物件の所有権移転の手続きが必要になり、その際に登録免許税と司法書士への手数料、印紙代等の手数料がかかります。
    金額は「固定資産課税台帳に登録された価格」(売買価格ではありません)に5%を乗じた額です。
    物件の所在地や物件の規模、築年数などによって大きく変わりますので、物件ごとに「評価証明書」を取得しないと正確な金額は出せません。
    参考までに青山の16uのワンルームマンションで20〜30万円程度が必要になります。

  4. 不動産取得税
    不動産を取得した時に課せられる税金で、登記の有無にかかわらず課税されます。
    「固定資産課税台帳に登録された価格」(売買価格ではありません)に4%を乗じた金額になります。
    この税金は購入後2ヵ月程で納付書が届きますので、支払いはその後になります。

  5. 固定資産税、都市計画税
    購入した日からの固定資産税、都市計画税は買主が負担しなければなりません。
    固定資産税等の税額は「固定資産課税台帳に登録された価格」(売買価格ではありません)を元に一定の利率を乗じて算出されます。
    参考までに青山の16uのワンルームマンションでは年間8〜15万円程度です。
 
 
− 自己資金 −
  事業用不動産を購入しようとする場合、購入金額の全額を現金か、あるいは現金と融資を併用して代金に充当することになります。
購入資金の全額を融資で調達することは難しい状況です。融資の不足分や仲介手数料、登記料等の諸費用に充当するための自己資金を事前に現金で用意する必要があります。これは最低でも物件価格の30%以上は必要です。
また、株式やその他の有価証券を現金化して自己資金に充当する場合は、それらの換金時期や手続きの方法も確認しておく必要があります。
 
 
− 融資利用 −
 

バブル期には銀行間の貸し出し競争によって、どの銀行でも物件価格の100%融資は常識で、 200%以上の過剰融資も日常的に行われていたので、事業用不動産購入時に自己資金の準備は必要ありませんでした。
バブル崩壊後しばらくの間は事業用不動産に対する融資がかなり制限されていましたが、 最近では再び積極的に融資を取り扱っています。
しかし、現在の融資額は物件価格に対して60〜70%が平均的なところです。 事業用不動産購入の際は住宅ローンが適用されませんのでアパートローンを利用することになります。

借入れの条件や融資金額は次の通りです。

  1. 勤続2年以上の安定収入のある方
  2. 過去にクレジット等で滞納事故歴のない方
  3. 満20歳以上60歳以下の方で銀行の指定する生命保険会社に加入が認められる方
  4. 税込み年収の5倍以内
  5. 年間の返済額が年収の20〜35%以内の方(年収帯によって異なります。)
  6. 購入物件価格の70%以内(原則として)

銀行の個人融資課の窓口で事前打診をすれば3営業日程度でわかります。
事前に具体的な物件や借入れ希望金額を決めてから相談に行くと良いでしょう。

 
 
− ワンポイントアドバイス −
  事業用不動産を効率よく運用し、資産形成を行うために、資金計画は大変重要なポイントです。
物件購入価格以外にも諸費用が必要になることを十分理解し、自己資金、借入金の限度額等も事前に把握しておきましょう。
事業用不動産は確かに大きな収益を生みますが、その収益がなくても日常の運営経費やローンの支払などは支障なく行えるようでなければなりません。
バブル期には高金利を家賃収入と自己資金でまかない、値上がりを待って売却し、それまで負担した金額の何十倍もの利益を得られた時期もありましたが、結局大きく値下がりして自己破産という結末に繋がったりしました。
 
   
   
STEP3 情報を集める
   
− 目 的 −
 

この段階での情報収集の目的は、事業用不動産のアウトラインを知ることです。
この地域のワンルームマンションであれば「価格○○万円、○○u、月額家賃○○万円、利回り○○%」、 この地域では「○○万円出せば利回りが○○%程度のアパートやビルが購入出来る」というものを掴む程度で十分です。
「予算・条件」を具体的に決める前の予備知識や感覚をつけることができれば良いでしょう。
具体的に言うと、青山周辺で1LDKの60uのマンションはどのくらいの価格で売り出されているか? その利回りは? 青山周辺で5,000万円の価格の物件は何uの広さのものが購入できるか?賃貸で貸すと月々幾らくらいで貸せるのか?などを実際の売り出し広告や賃貸情報のデータ等で知ることです。

 
 
− 方 法 −
 

事業用不動産を効率よく探すにはコツがあります。
一般住宅の様な雑誌広告や新聞折り込み等の数も少なく、また積極的に取り扱う不動産会社も限られていますので情報の収集は易しくありません。
しかし、初めから賃貸中の事業用不動産を探すのではなく、空室物件を新規に購入し賃貸に出す、という考え方であればもっと楽になります。
次に幾つか一般的な方法を挙げてみます。

  1. インターネットで事業用不動産の情報を検索する。
  2. ワンルームマンションを常時取り扱っている不動産会社に問い合せをする。
  3. 住宅情報誌の事業用不動産のページをチェックする。
  4. 購入を希望するエリアの不動産会社を1件づつ廻る。
  5. 事業用不動産を購入した知人等に紹介してもらう。
 
 
− 相 場 −
 

不動産はその性質上、個々に条件が異なり、すべて固有の特徴があります。言い換えれば新築物件で同時に売り出されたもの以外では同一の物件は市場に出ません。
特に中古物件の場合、個々に事情の異なるオーナーがそれぞれの物件の売主として存在します。また、同じ地域に建っているものでもグレード、築年数によってかなりの開きがあります。この様な理由から売出し価格に大きな格差が生じます。
不動産の「相場」には様々なものがありますが、ここでの「相場」は売出し価格の平均値や成約価格の近似値のことをいいます。
「相場」よりも極端に安いものは物件に何らかの事情があると考えられます。不動産では割安な物件が出て来ることがあっても、格安・激安物件が出ることはほとんどないと思われます。
更に事業用不動産の場合は賃貸の年間利回りによっても価格が大きく左右されます。

 
 
− ワンポイントアドバイス −
  事業用不動産の情報は一般住宅に比べてかなり少なく、取り扱いをしている不動産会社数も少ないのが現状です。
そこで、情報収集のコツとしては賃貸の情報と売買の情報をリンクさせ、同時に両方探しているつもりで情報を見てみると意外と簡単に集める事が出来ます。
一般住宅を購入する時と同様に事業用不動産を購入する際にも、予算や購入の条件を決定する上で、現在市場に出ている物件の利回りや価格帯などの下調べは大切です。
また、事業用不動産は賃貸の利回りなどが物件の単価に直接影響してきますので、相場という観点から物件自体の単価同士で比較することは、あまり意味がありません。
 
   
   
STEP4 物件の選択
   
− 購入価格 −
  事業用不動産を購入する場合、すべて自己資金で購入するか、または融資を利用して自己資金以上の物件を購入するか、の二通りがあります。
全額自己資金の場合は用意できる金額に依って購入価格が決まりますが、融資を利用する場合は個人の信用状況や年収等によって借入限度が変わるため、最初から購入価格を決めることは難しくなります。
事業用不動産を運用しようとする場合、必ずしも自己資金や借入金の上限で行う必要はなく、余裕を持った価格を設定することが重要です。
 
 
− 場所・最寄駅 −
  事業用不動産を購入しようとする場合、どこのエリアでどの駅の近くの物件を選定するかは非常に重要です。
住まいの近くや勤務先の近く等、地の利に詳しい場所という観点から選定することは失敗の原因となります。
最重要事項は賃貸の需要が常に一定で賃料相場も安定している場所であるということです。 青山、麻布、広尾、六本木、渋谷、原宿のエリアであればその条件は整っています。
 
 
− 建物種別 −
  一口に事業用不動産といっても一棟建のアパート、分譲のワンルームマンション、分譲のファミリータイプのマンションやビル、駐車場など多岐にわたっています。
それぞれにメリットやデメリットがありますが、初心者の方は分譲のワンルームマンションからスタートするのが無難でしょう。
分譲のワンルームマンションは建物管理や賃貸募集が比較的簡単に行え、販売価格の開きも小さく、事業用不動産の中では売却し易いこともあり初心者向けと言えます。
 
 
− 築年数 −
  「新築物件か?」「中古物件か?」という質問もよくありますが、結論としては、総合的に見て中古物件の方が事業用不動産に適しています。
新築物件でも中古物件でも賃貸相場にはそれほど大きな開きは無いのに、新築物件は中古物件に比べ購入価格が高く、利回りの面で中古物件に太刀打ちできません。
古い建物は修繕費にコストがかかるといわれていますが、分譲マンションなどは修繕積立金がしっかり貯まっていて、大規模修繕の際にも個人負担はほとんど無く行われています。
築年数が30年以上経っていても、物件の管理次第では新築よりも好条件で運用できる物件はかなりあります。
 
 
− ワンポイントアドバイス −
  物件の選択は事業用不動産の運用を成功させる為に非常に大切な項目です。
購入価格が高くなれば、貸付面積もそれだけ広くなり、利益も大きくなりますが同時にリスクもまた大きくなります。特に融資を受けて購入する場合は、無理の無い返済を前提とした計画を立てましょう。
事業用不動産では立地が最も重要です。賃貸需要の安定した場所であれば、築年数、建物のグレード、設備の有無などはあまり大きな影響を与えません。
 
   
   
STEP5 物件を見に行く
   
− 下調べ − 
  物件の資料に記載されている情報は一通りチェックしましょう。
最寄駅周辺の状況や類似物件などの情報も取り寄せて比較してみます。購入対象物件の賃料相場も重要なポイントになりますので賃貸情報誌等で調べておくと良いでしょう。
 
 
− 内 見 −
  一般住宅を購入する場合は部屋の中を見る(内見する)のは当たり前のことですが、賃貸中の事業用不動産の場合にはそれが出来ません。
そこで分譲時のパンフレットや建築図面などを参考にすることになりますが、正式に申し込む事を前提に入居者の内容を確認することは出来ます。
 
 
− チェック項目 −
 

事業用の物件を見学する際には、以下のような項目を確認します。

  1. 建物の管理はしっかりしているか?
    管理人常駐のマンションが全て事業用に向いているわけではありません。
    管理人が常駐するマンションの場合、毎月の管理費が高くなりがちですので利回りにも影響してきます。
    郵便ポストの周りや、ゴミ置場などが整理されているかもチェックします。自転車置場等も整頓されているか確認しましょう。

  2. ドアの表札やポストの名前は?
    現在賃貸中で部屋の中を見ることが出来なくても、これらをチェックすることでわかることがあります。
    事務所として使用している場合、会社名の表札が無いものや複数の異なった社名が並んでいるものは要注意です。
    後日賃貸借契約書と照らし合わせて、名義が異なる場合等は問題外です。

  3. 他の入居者はどのような人か?
    建物のポストを見れば全体の入居者のアウトラインがわかります。
    事務所が主流であるのか?住居が主流であるのか?等は一目でわかることです。
    また、ポストを見ることで空室の状況も把握できます。あまり空室が多いと賃借人が付きにくい物件である可能性があるので要注意です。
    暴力団関係者の事務所や新興宗教の事務所も敬遠すべき物件です。表札名が政治結社風なものや宗教関係のものも確認しましょう。

  4. 最寄駅は?
    駅からの実際の距離と、広告の距離は表示の方法で異なりますが、その開きがあまりにも大きいものは近道なども探してみます。
    他の乗り入れ線や急行の停車駅かどうか等もチェックしましょう。
    物件から最寄駅までに銀行やコンビニなどの施設があれば、賃貸条件は良くなりますのでこれらもリストアップしてみます。
 
 
− ワンポイントアドバイス −
  事業用物件の購入時も居住用物件を購入する時と同様に、まず自分が住みたくない物件やエリアは敬遠した方が賢明です。テナントが一般住居用である物件については、その判断は正しいものです。
テナントが事務所用である場合は、物件の外観や古さなどよりも、足回り、立地が重要視されます。騒音や日当り等はあまり影響しません。
ポストの周辺がチラシなどで著しく汚れているような物件は避けた方が良いでしょう。
また、管理人がいる物件では、管理人に一声かけてみるのも物件調査の有効な手段です。
入居者の個人的な情報等は当然教えてもらえませんが、物件に関しては貴重な情報源です。まず「ここの物件が気に入ったのですが〜」等と、その物件を誉めることから始めます。管理人さんも人間です。聞き方によっては様々な事がわかるでしょう。
 
   
   
STEP6 契約をする
   
− 購入申込 −
  気に入った物件が見つかれば具体的に「購入申込」をします。
通常はこの時に「申込金」を添えて、不動産会社に提出します。「申込金」は購入金額に関係なく10万円が一般的です。
途中で申込をキャンセルすると、この「申込金」は放棄しなければなりません。しかし、購入物件に指値をして申し込んだ場合や、一定の条件付で申し込んで、受理されなかった場合は返金されます。
 
 
− 契 約 −
  売主が購入申込書を受理、承諾すればいよいよ次は契約です。
契約は不動産会社の事務所で行うのが普通ですが、売主が法人の場合は売主の事務所で行う事もあります。
特に理由が無ければ契約は昼間行い、時間は2時間位で終了します。
 
 
− 契約準備金 −
 

以下は契約の際に最低必要な金額です。

  1. 手付金(購入価格の10%〜20%)
  2. 仲介手数料の半金(売買価格の3%+6万円×1.05÷2)
  3. 印紙代(売買価格が5,000万円以下の場合15,000円、1億以下は45,000円)

契約時には印鑑が必ず必要です。夫婦共有名義の場合は、双方の印鑑が必要になります。

 
 
− 重要事項説明 −
 

売買契約書に署名捺印をする前に、必ず不動産会社の宅地建物取引主任が免許証を提示した上で「重要事項説明書」の説明を行う事が義務付けられています。
この説明は売買契約締結の前に行い、基本的に買主にのみ説明するので、売主が立ち会わないケースもあります。
この「重要事項説明書」には以下の内容が記載されています。

  1. 仲介する不動産会社の所在地、代表者、免許番号、取引主任者の氏名、登録番号等
  2. 契約物件の所在地、号室、部屋の広さ(専有面積)、建物構造等
  3. 賃借人の内容、賃貸借契約書の内容等
  4. 売主の氏名、住所、登記簿謄本に記載された事項等
  5. 取引形態(仲介、代理のどちらか)
  6. 売買価格、手付金額、支払期日、ローンの借入れ金額等
  7. 契約解除の事項等
  8. 物件の管理形態、管理会社名及び連絡先、管理費、積立金の月額、積立金の総積立額等
  9. 法令上の建築制限等

この内容は大変重要です。説明を受けて理解出来ない点や不明な点は、しっかりと確認し明確にしておきましょう。

 
 
− 売買契約書 −
  売買契約書には物件名、号室、売買価格、手付金の額、支払期日などが記載されており、後半部分の「契約者欄」には、売主と買主、仲介会社それぞれの署名捺印欄があります。
記載内容は常識的なものが中心で、何処の不動産会社の契約書でもその内容はほとんど変わりません。
備考欄や特記事項には、特別な取り決めが記載されているので、この部分は要チェックです。
最近では、重要な事項は「重要事項説明書」にも記載されているので、契約書と重複する部分が多くあります。
 
 
 − 融資申込 −
  融資を利用する場合、売買契約と同時に銀行等の窓口で借入れの申し込みを行います。
殆どの不動産会社では融資申込の代行をしていますが、自分が予め打診した銀行や取引金融機関があれば、そこに申込をした方がベターです。
但し、ここで言う取引金融機関とは、単に預金口座を持っていたり、給与の振込先になっているというものではなく、当座勘定取引を行っていたり、過去に融資を受けたことがあるようなところの事です。
特に希望する金融機関が無い場合は、不動産会社に手続きの代行を依頼した方が確実です。
 
 
− 引渡日 −
  融資の内定が下りたら、売買契約書に記載された引渡し期日までに、残金支払の段取りをします。
融資を利用しない場合は、この引渡し期日は余裕をもって設定します。
売主、買主の準備が整い、双方に支障が無ければ、売買契約書の引渡し期日よりも前に実際の引渡しを行うのが一般的です。
この引渡し日の事を不動産会社は「決済(決裁)日」 、銀行等の金融機関では「契約日」と呼びます。
物件の引き渡しと言っても、賃貸中の物件は所有権の移動のみで実際に物件の中には立ち入ることはできません。
 
 
− 決済準備金 −
 

以下は引渡しの際に最低必要な金額です。

  1. 売買代金
  2. 仲介手数料の半金(売買価格の3%+6万円×1.05÷2)
  3. 登記料(登録免許税、司法書士報酬等)
  4. 管理費、固定資産税等の日割精算金

これらは事前に不動産会社から明細が届きますので、質問等があれば決済当日前迄に確認しておきましょう。

 
 
− ワンポイントアドバイス −
  「重要事項説明書」や「売買契約書」には契約時の事はもちろん、引渡し後の事までもが書かれています。
これらは後になって「知らなかった」や「聞いていない」では済まされない内容ばかりです。
専門用語も多用されていますので、自分が理解できるまで質問し、納得しておくことが必要です。
但し、重要事項説明書の中には売買契約に直接係わらないことも数多く記載されています。これらは大抵法令上の事項であったりし、通常は別冊になっていて、この内容の説明は何処の不動産会社も行いませんので、もし法律に興味があれば後でゆっくり読みましょう。
売買に係わる重要な法令上の事項は、重要事項説明書の中にはっきり記載されています。
引渡し後の物件の確認は出来る限り当日中に行います。場合によっては当日、決済の前に一度確認させてもらう事も出来ます。
賃貸中の物件の場合、賃貸借契約書の原本とそれに付随する「入居申込書」は必ず用意してもらいます。また、賃借人の入金状況を確認できる明細等も契約時に添付してもらいましょう。家賃の支払が毎月遅れているよううな物件は、契約をすべきではありません。
 
   
   
STEP7 名義変更をする
   
− 名義変更 −
 

物件の所有権移転手続きの申請が終了すると同時に様々な名義変更を行う必要があります。

  1. 賃貸借契約書
    賃借人がいる場合、前所有者との間に締結していた賃貸借契約書の貸主の名義を新所有者に変更しなければなりません。
    敷金の預かり証や毎月の家賃の振込先も変更します。
    新所有者が集金方法を不動産会社の集金代行や家賃保証契約に切り替える場合は、ここで以下の名義変更のすべてを不動産会社が代行します。

  2. 管理組合
    分譲マンションの場合、管理組合というものがあります。
    この管理組合に、新所有者の住所、氏名、連絡先、所有する部屋の状況(自己使用か?賃貸使用か?)を提出しなければなりません。
    管理組合によっては前所有者の印鑑が必要になります。また、毎月の管理費の支払は銀行の自動引落になりますのでその手続きもここで行います。

  3. 光熱費
    賃借人がいる場合は電気、ガス、水道の名義変更は必要ありませんが、空室物件の場合は賃借人が決まるまで、新所有者が支払の義務を負います。

  4. その他
    ビルやアパート一棟などの場合、建物設備の保証や定期点検、警備会社との契約の変更、あるいは新規契約をしなければならないものがあります。
 
 
− ワンポイントアドバイス −
  購入後の各名義変更は出来る限り早く行います。賃料の支払やその他管理費の自動引落し等、変更手続きに時間のかかるものもありますので注意しましょう。
特に家賃等は賃借人が前所有者へ振り込んでしまうことが多く、引き渡し後も互いに迷惑しますので早急に手続きを終了させます。
賃貸借契約の名義変更は特に慎重に進めたいものです。名義変更をきっかけに、前所有者とのトラブルの苦情や賃料値下げなどの話が出てくることが多く、賃借人への最初のアプローチが重要になります。
 
   



























 
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